人事異動があった場合
  
左のメニューから、「各種届出書」をダウンロードして
  メールに添付して事務局長補佐に連絡をお願いします。

 新規加入を希望される周産期センターの先生方へ
  
左のメニューから「各種届出書」をダウンロードして
  メールに添付して事務局長補佐にお送りください。


下記の要望書を提出いたしました。

令和4426

厚生労働省

 医政局長 伊原和人殿

 保険局長 M谷浩樹殿

                                               全国周産期医療(MFICU)連絡協議会

                                                                        代表幹事 海野信也

 

総合周産期母子医療センターにおける周産期医療提供の維持・継続のための要望書

 

 私ども全国周産期医療(MFICU)連絡協議会は、わが国における地域周産期医療を支える高次医療機関である総合周産期母子医療センターおよび地域周産期母子医療センターに指定された施設で勤務している産婦人科医(原則として各施設の産科責任者を含む)で構成されている団体です。現在総合周産期母子医療センター104施設、地域周産期母子医療センター64施設が会員(会員数249名)となっています。

 本協議会では、医師の働き方改革が実施される2024年度に向けて、202110月時点の総合周産期母子医療センターの産婦人科医の勤務実態と今後の見通しに関するアンケート調査を実施しました。全国109施設中104施設(95.4%)から回答が得られました。その結果31%の32施設が、2024年度以降、総合周産期母子医療センターとしての運営継続を困難にする課題を抱えており、解決の目処がたっていないことが明らかになりました。このように回答した施設の65.6%(21施設)は四大都市圏以外の地域のセンターであり、大学病院以外の病院に設置されたセンターが68.8%(22施設)を占めていました。これらの施設で最大の課題となっているのは人員不足であることも示されました。  

  また、母体・胎児集中治療室管理料の算定については、現時点で、6施設(5.8%)で既に算定できておらず、25施設(24.0%)で今後算定ができなくなることが想定されていることが分かりました。現時点で算定できていない施設では、医師の集中治療室内常駐要件が課題となっていました。

 現行の制度のままでは、医師の働き方改革を推進し産婦人科医の過剰労働を改善することと、地域周産期医療の要となっている総合周産期母子医療センターを中心とした24時間救急対応体制を確保することを両立できない地域が存在しています。根本的な原因は地域及び各施設の産婦人科医不足ですが、集約化や重点化等の努力を行ったとしても、人的リソースが絶対的に乏しい大都市圏以外の地域では、総合周産期母子医療センターの産婦人科に短期間で増員をもたらすような改革は実現不可能と考えられます。なんらかの制度変更を行い、総合周産期母子医療センターの機能を損なうことなく、産婦人科医がより効率的に働くことを可能にする必要があると考えられます。また、産婦人科医師の7割は女性医師であり、男女共同参画の取組みは進んできているものの、依然として女性の育児負担は大きく現場を去らざるを得ないことが多いのが現場の現実です。このような女性医師の勤務継続のためにも柔軟な勤務が可能になるような制度変更が必要と考えられます。このような考察の後、2024年度以降現行の周産期医療体制の維持を可能にするために有効と考えられる制度変更の具体策について、会員施設を対象として改めて調査を実施しました。その結果、現行の規定や要件の中で以下の2項目について、改正の重要性を指摘する意見が多数を占めました。

 以上のような検討を踏まえ、以下の2項目について、改正をご検討いただきたく、要望する次第です。

何とぞご高配のほどお願い申し上げます。

 

1.  1.「周産期医療の体制構築に係る指針」の総合周産期母子医療センターの医師勤務状態の要件について緩和する。(91施設中72施設、79.1%が賛成)

現行では「24 時間体制で産科を担当する複数(病床数が6床以下であって別途オンコールによる対応ができる者が確保されている場合にあっては1名)の医師が勤務していること。」となっているが、「24 時間体制で産科を担当する複数(病床数が6床以下であって別途オンコールによる対応ができる者が確保されている場合にあっては1名)の医師が当該医療機関内に勤務していること」と変更する。

 

2.  2.総合周産期特定集中治療室管理料に「母体・胎児集中治療室管理料2」を新設する:総合周産期特定集中治療室管理料における「母体・胎児集中治療室管理料」を「母体・胎児集中治療室管理料1」(現行のまま)と「母体・胎児集中治療室管理料2」に分ける。新設された「母体・胎児集中治療室管理料2」では、医師の集中治療室内常駐要件をはずし、「当該保険医療機関内に集中治療を行うにつき必要な専任の医師が常時配置されていること。」とする。(91施設中60施設 65.9%が賛成)

 

解説

産婦人科医のセンター内及び集中治療室内常駐要件は、十分に人材が確保されている状態においては、センター内外の患者に対して患者安全、医療の質の担保、向上に資すると考えられる。しかし、現状を見ると、多くの周産期母子医療センターでは限られた人員で長時間の時間外労働を行うことで運営が成り立っている。総合周産期母子医療センターの多くは大学病院あるいは地域の基幹的な総合病院に設置されており、これらの施設の産婦人科医は、ハイリスク妊娠分娩対応以外に、低リスクの妊娠、正常分娩にも対応し、悪性腫瘍診療を含む婦人科診療にも関与している。産婦人科医のセンター内及び集中治療室内常駐要件は、数少ない産婦人科医が医療機関内の産婦人科診療全体の効率的勤務遂行の妨げになっていると考えられる。以下に一例をあげる。常駐要件が存在するため、センターのMFICUの患者で帝王切開が必要になった場合、MFICUの担当医師はMFICUから出られないので帝王切開には関わることができない。やむを得ず、MFICU担当医師とは別に複数の医師を確保するという不合理な対応が必要になっているのである。

上述したような制度的制約は医師の労働時間削減を困難にすると考えられる。今回要望した要件の変更により、患者の状態に応じた柔軟な対応が可能となり、センターの内外での医師のワークシェアやセンター内での医師と助産師間でのタスクシフトをより円滑に進め、より質の高い、安全な医療提供につなげることが期待される。

また、今回の要望が実現して集中治療室内常駐要件が緩和された場合でも、産婦人科医は施設内には常時勤務している体制は維持される。MFICU内での対応が必要な場合には室内に常時勤務する看護職との適切に連携することにより迅速に対応することが可能である。本協議会の構成員はMFICUの現場で業務に従事し、その状況を熟知している。その立場で考えても、今回の要望が実現した場合において、提供される医療の質への影響が発生する可能性はないかきわめて低いと判断している。

      

 

 
 

 

 

 

 

2013年7月15日から